今回は、モンブラン万年筆のマイスターシュテュックをご紹介させていただきます。
モンブランは、万年筆愛好家が誰でもうらやむ万年筆の中でも最高級の部類に入るメーカーの一つです。書き味が抜群に良いのです。
ペン書道初段の腕前ならば、一気に三段くらいになったと思うくらい綺麗な字が書けるような書き心地がする万年筆です。
正直、弘法筆を選ばず、つまり、書道の天才は何の筆を使っても良い文字が書けると言いますが、筆を忘れた時の苦し紛れの言い訳だと言う説もありますし、良い筆を使って練習するにこしたことはありません。
今は、筆でサインする時代ではありませんが、各国の首相や重要な取引のサインシーンにも万年筆は必需品です。
モンブランの万年筆の特徴

さて、モンブラン万年筆の特徴についてお話ししましょう。
モンブランは、ドイツのメーカーです。モンブランの創業は、1906年になります。ドイツのハンブルクという町で、貿易商、銀行家、エンジニアの三人がペンの会社を設立したことが始まりです。
モンブランの万年筆には、プレシャスレジン(モンブラン樹脂)と言う天然の素材から出来た樹脂を使って筆軸が作られております。これだけでも、巷のプラスチックなどで作られた万年筆とは違うと言うことがわかりますよね。
モンブランの万年筆で書いたことがありますが、非常になめらかに書くことが出来ます。
モンブランは、万年筆にとって重要な太さ、長さ、重さ、重心を詳細に公開しているので、ご自身に合った万年筆を選ぶことが可能でしょう。
マイスターシュテュック149の特徴3つ

マイスターシュテュック149の特徴と言えば、まず、3つの大きな特徴がります。
それは・・・①太い!②長い!③重い!ということです。独特の重厚感があるデザインになります。正に、他の万年筆と比べると、国産車とベンツやアメ車などの外車くらいの重厚感の違いになります。
太いと何か良いことがあるのか?と思われるかもしれません。実は、極太軸のために、非常に疲れにくいのです。
そして、長さは、149と言う名前の通りに、149mmあります。
そして、重さですが、約33gもあります。
この重さゆえに非常に重厚感のある文字を書くことが可能になるのです。
また、マイスターシュテュック149はインクが吸引式になっています。他の万年筆が、カートリッジ式になっている中で、頑固にこだわり続けるのが、使いにくさとも言えますが、それがまた良さとも言えるでしょう。これによってメンテナンスがしやすいとも言えます。
マイスターシュテュック149と146の違い4つ

次に、マイスターシュテュック149と146の違いについてご説明いたしましょう。
■①長さの違い
先ほど説明いたしましたように、マイスターシュテュック149は149の名前の通り、149mmの長さがあります。
では、マイスターシュテュック146の長さは・・・?と言いますと、まさに、思われている通りの146mmあります。
若干、3mmの違いですが、この違いは大きいです。マイスターシュテュック149は149mmありますので、置いた時に目立ちやすいです。
■②太さの違い
では、太さの違いについて説明しましょう。
太さもマイスターシュテュック149は約16mmあります。
一方、マイスターシュテュック146は約13mmになります。
普段のボールペンと同じように使いたいかたには、太さが13mmのマイスターシュテュック146をおすすめいたしますが、やはり、万年筆ぽく使いたいと言われる方には、間違いなくマイスターシュテュック149をおすすめいたします。
太さがあるということで、どっしりとした構えた字が書きやすいのです。
■③重さの違い
では、次に、マイスターシュテュック149と146の重さの違いについて説明いたしましょう。
マイスターシュテュック149は、重さが、33gあります。
一方、マイスターシュテュック149は、26gしかありません。
この重さの違いも大きいです。
ちょっと手帳に書くのに取り出して、ササッと書こうと思ったら、マイスターシュテュック146の方が軽くて良いでしょう。しかし、家の中や机の上で、しっかりとモノを書きたい時には、マイスターシュテュック149の方をおすすめいたします。
重量感があるということは筆圧が安定しますし、重量感があることで、濃厚な味わいのある文字を書くことができます。ワープロやパソコンが普及したとはいえ、実際には、サインや履歴書などは、手書きで書くことが多いので、しっかりとした重みのある字を書くということはあなたの信用を高めてくれるでしょう。
■④価格の違い
マイスターシュテュック149と146の価格の違いについても触れておきましょう。
マイスターシュテュック149は、およそ10万円します。
一方、マイスターシュテュック146は、およそ7万円になります。
3万円の違いがあるとはいえ、3万円で一生ものの良い文字が書けるペンを買うことが出来ると考えたら、マイスターシュテュック149の方をおすすめいたします。
マイスターシュテュック149を買うときの選び方3つのポイント

■①軸が太く、疲れにくい
マイスターシュテュック149は、丸みを帯びたボディをしております。しかも軸が太いのです。軸が太いということは、疲れにくいということです。
ですから、ライターや小説家など、家で文章を書く事が多い人や持ち味にこだわる人に向くペンだと言えます。もし、早くサクサクとメモを立ちながら書くと言う場合には、若干軽くて細い146が向いているかも知れませんが、机に座って書くことが多い人には、146より太くて重い149をオススメします。
■②天然素材で手に馴染む
更に、ボディには、天然樹脂のモンブラン樹脂が使われています。天然素材でないと長時間使っていて、気が付かないうちに集中して、手が汗ばんでしまうようなライターや小説家やレポートを手書きで作成する人達にも向きます。
更に、天然素材ということは使えば使う程、手に馴染むということです。普通のプラスチックはどうしても長年使っても劣化する一方で手に馴染むことは、まずありません。汗が多い人や手に馴染ませていきたい文字を長時間書くことがある人におすすめです。
■③ペン先の18金がもたらす書き味
ペン先の材料は、豪華な装飾が施された18金が使われております。そして、モンブランという山の標高を表す「4810」が刻印されているのです。18金というのは、金の中でも最高級と言えます。18金は非常に柔らかいのです。他の安価な万年筆では、18金が使われていない場合も多いのです。ですから、書き味を重視したい人には、マイスターシュテュック149をおすすめします。
マイスターシュテュック149のペン先4種類とその書き味
マイスターシュテュック149のペン先は4種類あります。
EF(極細字)/F(細字)/M(中字)/B(太字)の4種類になります。
それぞれに特徴があります。
<EF(極細字)>
EF(極細字)は、EF (極細/EXTRA FINE/エクストラファイン)の略語になります。
ノートに細い文字を書きたい場合には使えるでしょう。国内産万年筆のEF(極細字)と比べれば、やや太く感じるでしょう。国内製品のFに相当します。国産の万年筆と比べると1サイズ大きいと思っておられると良いでしょう。
<F(細字)>
次にF (細字/FINE/ファイン)について解説いたします。こちらは、国内の万年筆のサイズのMサイズに相当します。画数のあまり多い字を書く以外ならば、このFサイズの万年筆でも大丈夫です。
この上記のFサイズくらいまでが日本語の文字を書くのに適していると言えるでしょう。これ以上太くなると正直アルファベットなどの欧文を書くことに適しているようになります。海外のメーカーですから、欧文に合わせているのは当然のこととも言えるでしょう。
<M(中字)>
次に、M(中字/MEDIUM/ミディアム)について解説いたします。ぎりぎり原稿用紙に複雑な漢字を書いても収めることが出来るくらいの太さだと言えるでしょう。
中には、このMサイズを初心者向きとオススメしている人もいますが、実際に買う前には書いてみて、試してみた方が良いでしょう。ペン先がある程度太い程、書いた時の滑らかさもアップするので、オススメしている人たちもいます。ギリギリ日本語を書いても大丈夫と言われるかたもおられますが、正直、欧文に適していると思います。
</B(太字)>
では、最後にB(太字/BROAD/ブロード)について解説いたします。
正直、これは万人向きでは無いかもしれません。原稿用紙の中に、複雑な漢字を書こうとすると潰れてしまいます。ですが、モンブランは、軸径がかなり太いので、その太さに合わせて使ってみたいと豪語する方ならおすすめ出来るかもしれませんが、正直、あまり一般の人にはおすすめいたしません。
実用を考えるのならば、M(中字)までになります。M(中字)でも正直、国内産万年筆に比べると太いので、あまりおすすめいたしません。一つ下のサイズであるF(細字)を使われるのが良いかと思われます。
しかしながら、最終的には、ご自身の書いた感覚が一番大事ですから、その感覚を頼りに買うようにいたしましょう。
マイスターシュテュック149を初めて買うときに一緒に揃えたいもの2つ
■①インク
マイスターシュテュック149を初めて買うときには、インクを揃えて下さい。
インクが無ければ、いかに優秀な万年筆でも書けません。他社のインクを代用するなどはもっての他です。そんなことをしてペンを壊してしまえば、最悪、保証の対象外にもなりかねません。
きちんと、モンブラン製品を揃えましょう。安く済ませようとして、他社のインクや100円均一のインクを入れてしまうと大変なことになってしまいます。それぞれのインクにはそれぞれの会社にあった微妙な粒子のようなものがあるので、それを無視してはいけません。
インクとしては、ロイヤルブルーの色が最初はおすすめです。理由としては、スタンダードな色だからです。
ビギナーには、ロイヤルブルーをおすすめします。 『モンブラン インクボトル MB105192 60ml ロイヤルブルー』という商品名です。
また、店頭で色を見て買うというのも有りでしょう。
ミッドナイトブルーの色も案外おすすめです。『モンブラン インクボトル MB109204 60ml ミッドナイトブルー』もおすすめです。日本人には、ミッドナイトブルーは、あまりなじみが無い色ですが、ヨーロッパでは、良く使われている色なのです。
■②万年筆用ノート
では・・・何に書けば良いのか・・・?と思いませんか?
チラシの裏に書くのも良いかもしれませんが、それなら、100円均一のボールペンで充分です。
高級な万年筆ですから、高級なノートを用意しましょう。それが、万年筆用の『ライフ ノート ノーブルノート 方眼 A5 N33』です。
創業当時から変わることのないMade in Tokyoをコンセプトに作られたノートです。ノーブルというのは、英語やフランス語で「高貴な」という意味ですから、まさに、高貴な高級万年筆にピッタリのノートになります。東京下町の職人の手でひとつひとつ丁寧に作られたノートなのです。
「滑らかさ」「しなやかさ」はもちろんのこと、色調の「やわらかさ」まで兼ね備えて目に優しい明るさなのです。
万年筆のインクを使うと普通のノートはにじみや裏に染み込んだりしますが、このノートはにじみにくいノートです。せっかく万年筆で書くので、にじまない書きやすいノートを使うようにしましょう。チラシの裏なんかに書いていたら、万年筆を駄目にしますよ。
まとめ
万年筆は古いようで新しい筆記具です。日本では、明治、大正、昭和の香りがしますが、欧米諸国ではサインの契約社会ですので、いまだに社会的地位の高い人々の中でステータスシンボルとして、使われています。
ボールペンだと格好がつかないのです。「何を言うか!!俺は、社会的地位が付いて来ても百均のボールペンで充分だ」と思われるかもしれません。たかだかペンに数万円もお金をかけるなんてばかばかしいと思われるかもしれません。
しかし、もし、外国から来た首相や外国から来た大会社の社長がサインする時に、百円均一のボールペンで、書き味が悪そうに、汚らしい字を書いていたら、それを見た外国の国民たちは不安でならないでしょう。
「本当にこの国と取引をして良いものなのか・・・?」と不安を覚えるに違いありません。
サインは非常に重要なものです。日本では印鑑です。印鑑には、数万円かける日本人ですが、残念ながら、サインの習慣の無い日本人は会社の社長が百均のボールペンでサインをすると言うシーンも実際に見かけます。
マイスターシュテックは、かつてジョン・F・ケネディ大統領に愛用されていたようです。日本でも、開高健、水上勉、森瑤子など数多くの作家が愛用していたようです。本当なら、社会的な地位に応じて、万年筆を持っておく方が良いでしょう。
国際的には、日本でいう印鑑と同じ効力を持つサインをする時には、高級な万年筆なのです。もし、海外に出張に行くようなお仕事や外資系にお勤めの場合は、マストで揃えておくべき道具となるでしょう。
万年筆は、書いた人の筆圧の特徴をペン先が刻んでいきます。つまり、あなたのためだけにペン先が馴染んでいくのです。
実際に、万年筆を購入されてご自身だけの万年筆のペン先を作られていくことを願うばかりです。