サーフボードの上に立って、パドルでこぎながら優雅にスイスイと水面を進む人の姿を見たことがありませんか?あれはスタンドアップパドル、通称SUPというウォーターレジャーです。板の大きさによる浮力を利用して、子供や女性、年配の方など体力に自信がない人でも比較的挑戦しやすいことから、SUPを楽しむ人は年々増加しています。
これからSUPを始めようと思っている方のために、初心者でも簡単に乗れるようになるコツをご紹介します。
初心者がSUPを始めるときの心構え

SUPは基本的にボードの上に立って楽しむスポーツです。浮力が大きいため、初心者でもすぐにボードの上に立つことができますが、やはり水面というのは不安定なもの。慣れるまでは、少し風が吹いたり波が来たりすることで、ふとした拍子に水面に落ちてしまうことが多々あります。
水面からボードの上に戻ることも、それ自体はそんなに難しいことではありません。しかし、何度も繰り返しているうちに、思いの外体力が奪われてしまいます。ライフベストやライフジャケットは必ず着用してください。
海や湖など、SUPができる場所の周辺にはSUPのスクールがあることも少なくありません。スクールではボドードだけでなく着用するものなど一式を貸してくれることが多いので、まずはスクールに入って基礎的なことをしっかり教えてもらうと安心です。
初心者がSUPで波乗りできるようになるコツ5つ

まず最初に、初心者でもSUPで波乗りができるようになる5つのコツをご紹介します。
■①まずは穏やかな場所でSUPに慣れる
早く波を乗りこなしたくてうずうずする気持ちはわかりますが、まずはしっかりボードの上にたてるようになることが肝心です。波があるとどうしても足元が不安定になってしまうので、最初はなるべく波が立っていない穏やかな場所で練習しましょう。重心の移動の仕方とパドルの扱い方を最初に身につけておくだけで、疲れやすさやのちの上達が格段に変わります。
■②うねりを見つける
SUPで波乗りをするためには、綺麗に盛り上がり、左右に崩れていく乗りやすい波を見つけることから始まります。まずは波に乗ろうとせずに、いくつか波を観察してみましょう。沖から「うねり」と呼ばれる、波のもとになる流れが岸に向かって入ってきます。そして、もっとも盛り上がった場所から、必ず左右のどちらかに崩れていきます。うねりをじっくり観察していると、波がどちらに崩れていくのかわかるようになります。
■③進む方向を決めて、波を背にして待つ
うねりを見つけ、どの波に乗るかを決めたら向きを変え、波を背にして待ちましょう。このときに、右に進むか、左に進むか決めておくのも肝心のポイントです。ただし、初心者のうちは迫る波を背にして素早く方向転換するのが困難な場合もあります。そのため、ある程度沖に出たらあらかじめ岸のほうを向いて波をさがしてください。
■④ブレードは海中に入れたまま漕ぎ出す
波が迫り、漕ぎ出す際には、パドルのブレードがしっかり海中に入った状態から漕ぎ出します。持ち手はできるだけ変えずに、ボードが走り出し、さらにしっかりとスピードに乗るまで全力でパドリングを続けましょう。
■⑤ボードが滑り出したら姿勢に注意
ボードがスピードに乗って滑り出したら、軸足を引いて進行方向に向かって体重をかけましょう。ぐっと腰を落として、なるべく重心を低くします。このとき、腰が後ろに引けてしまわないように、膝を落とすことがポイントです。ついつい足元やパドルに視線が行きがちですが、これは重心を崩してしまう原因になります。目線は少し遠く、ご自身の行きたい方向を見るようにするのが安定させるコツのひとつです。
初心者がSUPでターンできるようになる方法

SUPでのサーフィンで、まず基本的に波に乗れるようになったら、次は技を覚えることを目標にしましょう。一番初歩的な技はリッピングといわれる波のトップに向かってターンをするものですが、そのためには基本のボトムターンというターンを身につける必要があります。リッピングに限らず、ボトムターンはすべての技につながる基本的なターンです。
ボトムターンのコツは2つ。
①ひとつめはしっかり「溜める」こと。そして、思いきって体重をかけること。ある程度のスピードが出ていないとボトムターンはできないので、きちんとスピードに乗れるようになった頃がボトムターンの練習にうつるステップアップの時期です。
ボトムターンは、スピードを落とさずにしっかり波のボトムまで下り切ることから始まります。どうしても下り切る前にターンに入りたくなってしまうのですが、きちんとボトムまで下りて最適なタイミングでターンすることで、波の力を利用することができ、ターンもしやすくなります。
②次に、前足でレールを踏み込んで、レール全体をほぼ海面に潜り込ませるようにイメージして力を溜め込みます。目線は進みたい方向をしっかり見ること。レールが海面にきちんとかんでいる状態から、体重を一気に後ろ足に移動することでターンが完成します。
初心者がSUPの乗り方で参考になる動画3つ
SUPの波乗りの方法やターンの仕方は、文字だけではなかなか理解できないかもしれません。もちろんスクールで教えてもらうのが一番わかりやすいのですが、スポーツにおいてはイメージトレーニングはとても重要です。Web上には参考になる動画もたくさんあるので、先ほどの説明と合わせていくつかの動画を見てみましょう。
■①M-SUP 初心者波乗りレッスン
SUPでの波乗りを目標とした初心者用のレッスン動画です。実際にスクールを受けている動画なので、スクールでどのようなことを教えてもらえるのかがイメージできます。バランスの取り方やボードに乗る位置を砂浜でレクチャーしているので、とてもわかりやすいのが特徴です。
■②Kai Lenny Teaches You How to Stand Up Paddleboard
Kai Lenny Style Challenge—GQ Magazine
SUPの神様のような存在であるカイ・レニーは、初代のSUPワールドチャンピオンです。そのカイ・レニーによるSUPの漕ぎ方のレクチャー動画です。英語のみですが、フォームや漕ぎ方の細かい特徴を動画で見るだけでもとても勉強になります。手はどの位置からどの位置まで動いているか、そのとき腰はどのように使っているかなど、じっくり観察してみましょう。
■③How To Stand Up Paddle Board - SUP Basics
SUPの基礎がとてもわかりやすい動画です。英語での動画ですが、日本語の字幕入りなので細かい部分まできちんと理解できます。基本的な立ち位置やパドルの持ち方、漕ぎ方などの説明が見られるので、SUPをまだ初めていない方も、まずこれを見て大まかなイメージをつかんでおくと良いでしょう。
まとめ
もちろんSUPでのんびりクルージングをするのもとても気持ちが良いのですが、フィッシングやヨガが楽しめたりと、バリエーションのある楽しみ方ができるのがSUPの大きな魅力です。せっかく始めるのであれば、何か目標をもってステップアップしていくのがオススメです。
SUPでの波乗りもそのひとつ。サーフィンはやってみたかったものの、ボードの上に立つことができずに諦めてしまったり、パドリングで沖まで行く自信がない、という人でもSUPでの波乗りなら始めやすいですね。
ただし、浮力があるので前に進むのは大きなボードが最適ですが、ターンなどの技を覚えようとするとボードが大きければ大きいほど力が必要になります。上達に合わせて、色々なボードに乗ってみるのもまた楽しみのひとつではないでしょうか。